すみだトリフォニーホール
  • TOPICS
  • オンラインチケット
  • アクセスMAP
  • ホール友の会「トリフォニークラブ」
  • ジュニア・オーケストラ
  • 文字サイズ
  • 小
  • 中
  • 大
コンサートを観たい
ホール・練習室を借りたい
Concert. ホールを知りたい
 
おすすめ公演
公演カレンダー公演一覧座席表チケット購入方法

おすすめ公演

・第1夜:2012年6月16日(土)
・第2夜:2012年6月19日(火)
・第1夜:2012年10月6日(土)
・第2夜:2012年10月8日(月・祝)

チラシPDFダウンロード(1.1MB)

第15回 地方都市オーケストラ・フェスティバル

日本列島各地の風土に醸成されたオーケストラが放つ鮮烈な独自の個性。今、その旋風が吹き込む!

大阪交響楽団 ★特別参加

日 付
2012年3月18日(日)
時 間
15:00開演(14:15開場)
出 演
寺岡清高(常任指揮者)[指揮]
長尾洋史[ピアノ]
大阪交響楽団[管弦楽]
曲 目
ヘンゼルト/ピアノ協奏曲 ヘ短調 作品16
フランツ・シュミット/交響曲第4番 ハ長調

※出演を予定しておりました音楽監督・首席指揮者 児玉宏氏が体調不良のため、指揮者ならびに曲目の一部が当初発表より変更となりました。

詳しくはこちら

公式サイト

群馬交響楽団 ★特別参加

日 付
2012年3月20日(火・祝)
時 間
15:00開演(14:15開場)
出 演
ニコラス・ミルトン[指揮]
中嶋彰子[ソプラノ]
群馬交響楽団[管弦楽]
曲 目
ボロディン/歌劇《イーゴリ公》より「だったん人の踊り」
ラヴェル/《シェエラザード》
ベルリオーズ/幻想交響曲

公式サイト

セントラル愛知交響楽団

日 付
2012年3月25日(日)
時 間
15:00開演(14:15開場)
出 演
齊藤一郎(常任指揮者)[指揮]
鈴木俊哉[リコーダー] 多井智紀[チェロ]
野村祐子[箏] 野村峰山[尺八]
セントラル愛知交響楽団[管弦楽]
曲 目
木下正道/「問いと炎II」リコーダー・チェロとオーケストラの為の(世界初演)
水野みか子/レオダマイア〜尺八、箏と管弦楽のための〜(管弦楽版世界初演)
J.S.バッハ(野平一郎編曲)/ゴルトベルク変奏曲BWV988(2010年11月19日初演)

公式サイト

広島交響楽団

日 付
2012年3月27日(火)
時 間
19:00開演(18:15開場)
出 演
秋山和慶(音楽監督・常任指揮者)[指揮]
マーティン・スタンツェライト(首席チェロ奏者)[チェロ]
広島交響楽団[管弦楽]
曲 目
エルガー/チェロ協奏曲ホ短調 作品85
ブリテン/イギリス民謡組曲「過ぎ去りし時‥」 作品90
ブリテン/シンフォニア・ダ・レクイエム 作品20

公式サイト

各公演とも、開演30分前よりプレ・コンサート・トークあり

※4公演セット券ご購入者を、室内楽コンサート&公開リハーサルにご招待します。(お申込みの必要はございません)

更新情報:動画 2012.03.23

チケット情報

料 金
[全席指定]
●4公演セット券:S¥14,800 A¥11,600 B¥8,400
●各1回券:
   3/25、27  S¥4,500 A¥3,500 B¥2,500
   3/18   S¥4,000 A¥3,000 B¥2,000 C¥1,000
学生(25歳以下)は、S席¥1,000
   3/20  S¥5,500 A¥4,500 B¥3,500 C¥2,500
割 引
トリフォニークラブ会員料金は、
●4公演セット券はS¥12,950 A¥10,150 B¥7,350
●各1回券は3/18Cおよび学生を除き各10%引き
同時入会申込可
発売日
トリフォニークラブ会員先行発売:2011/10/30(日)
一般発売:2011/11/6(日)
お問合せ
トリフォニーホールチケットセンター
03-5608-1212

オンラインチケットのお申込

ご利用には、一般オンライン会員あるいはトリフォニークラブ会員への登録が必要となります。
※一部公演・券種のみの取扱いとなります。
※一般オンライン会員では、トリフォニークラブ会員特典は受けられません。

託児サービス

◆お預かり時間:開場時間から終演10分後まで
◆お預かり場所:すみだトリフォニーホール内 託児室(大ホール 2階ロビー)
◆利用料金(1名につき):生後満6ヶ月から1歳児¥3,000、2歳児以上¥2,000
◆予約方法:公演日の1週間前までに、下記番号あてに電話予約

●申し込み・お問い合わせ:

株式会社小学館集英社プロダクション 総合保育サービスのHAS(ハズ)

0120-500-315 [平日10:00-17:00]

2012年3月、クラシック界のローカルヒーローが錦糸町に集結!

 いまや地方といえば“ゆるキャラ”“B級グルメ”“アンテナショップ”。ご当地関連のイベントが都内で開催されると、たくさんのお客さんで大盛況だ。そりゃ、そうだろう。少し、とりすましたところのある都会的なライフスタイルの中で暮らしていると、地元に根付いたユニークな企画が、とっても新鮮に感じられるのだ。思わず手で触りたくなってしまう“ゆるキャラ”や、箸をつけたくなってしまうユニークな料理……。では、クラシックはどうだろう? これが、ちゃんといるのである。各地を拠点に日夜活躍を続ける、オーケストラというローカルヒーローが!

 2012年3月、2年ぶりに開催される「第15回 地方都市オーケストラ・フェスティバル」は、各地から集まったローカルヒーローが自慢の“必殺技”を駆使し、バトルを繰り広げる夢の祭典。それでは、各ヒーローが誇る強力な“必殺技”を、ほんの少しだけご紹介しよう。

 関西代表・大阪交響楽団は、後期ロマン派最後の作曲家プフィッツナーの「交響曲第2番」をメインに。「えっ?ブラームス?」と錯覚してしまう親しみやすい楽想が魅力的だ。関東代表・群馬交響楽団は、ウィーンで活躍する歌姫・中島彰子を助っ人に迎え、ラヴェルの歌曲集「シェヘラザード」を。極上の“エキゾチック・アジアン・ビューティ”が堪能できる。中部代表・セントラル愛知交響楽団は、野平一郎が編曲したバッハ「ゴルトベルク変奏曲」を引っ提げて登場。「聴く人を退屈させるために書かれた」原曲を、アレンジという“秘密兵器”を駆使して面白くしてしまうのがポイント。そして中国代表・広島交響楽団は、ブリテン「シンフォニア・ダ・レクイエム」を。皇紀2600年奉祝曲として委嘱されたものの、当時の日本政府に演奏を拒否されてしまった問題作だ。

 この他にも多数の決めワザを用意し、決戦に挑む以上4団体。どんなバトルが展開するのか?2012年3月だけの期間限定、地方都市オケの“アンテナショップ”がオープンする錦糸町に集結せよ!

前島秀国(まえじまひでくに/サウンド&ヴィジュアル・ライター)


※3/18(日)大阪交響楽団公演の内容が一部変更となりました。

詳しくはこちら

セントラル愛知故郷楽団
常任指揮者 齊藤一郎によるスコアと演奏

「野平一郎編《ゴルトベルク変奏曲》管弦楽版」解説 1/2

「野平一郎編《ゴルトベルク変奏曲》管弦楽版」解説 2/2

※インタヴュー、演奏いずれの映像も、2010年11月19日に三井住友海上しらかわホールでの世界初演時に収録したものです。

公演情報
2012年3月25日(日)15:00開演 セントラル愛知交響楽団

児玉宏インタヴュー 「名曲とは?」

※すみだトリフォニーホールにて収録

公演情報
2012年3月18日(日)15:00開演 大阪交響楽団 ★特別参加

齊藤一郎インタヴュー 「野平一郎編《ゴルトベルク変奏曲》について」

※2010年11月19日 三井住友海上しらかわホールにて収録

公演情報
2012年3月25日(日)15:00開演 セントラル愛知交響楽団

山野雄大

セントラル愛知交響楽団

 東日本大震災から1週間後、筆者は凄まじい緊張感に満ちた東京を離れてセントラル愛知響の定期演奏会へ飛んだ。リハーサル開始前、直前に迫っていた《地方都市オーケストラフェスティバル2011》中止との決定が団員に伝えられた時の、重苦しい沈黙は忘れられない。震災発生から東京に戻れないままだった指揮の齊藤一郎も正に無念をかみ殺すように「残念ですけど、いつか必ずやりたいですね!やりますよ!」と己に約束するかのように繰り返した。……ソリストを2人ずつ要する委嘱新作2曲にバッハの創造的編曲を配した演目は昨年のフェスティバルでも屈指の冒険だった。バッハ/野平《ゴルトベルク》もこのコンビでこそ実現し得た成果だし、前半で新作を発表するふたりも、同団に意欲的な新作を書いた気鋭・木下正道、琵琶と管弦楽のための《光の扉へU》をはじめ楽団との関係も深い水野みか子(名古屋市立大学教授)。09年から常任指揮者に着任した齊藤一郎と楽団が誇る〈攻め〉の現在を凝縮した、正に勝負の3作だったのだ。楽団事務局にお話をうかがうと、やはり昨年の中止を作曲家や指揮者などに伝えた時の電話越しの声、行き場のない想いが今でも耳にこびりついているという。──そして、1年。「昨年中止を選択したからこそ、それ以上のものを!という気持ち」を強く意識している楽団は、齊藤との結束もより強めて、もちろん、あの3曲をもって今度こそ東京にやってきた。2年分の強い拍手でお迎えしよう。

★木下正道:《問いと炎II》〜リコーダー、チェロ、オーケストラのための〜
 2009年9月、セントラル愛知響第101回定期(齊藤一郎指揮)で木下の新作《問いと炎》が初演された。詩人エドモン・ジャベスの言葉からタイトルをとった作品は3人の声明(独奏者)が問いかけとなりオーケストラに炎を灯す……という着想。今回の新作では逆のコンセプト、独奏者が炎となることを目論んでいる……とは作曲者談。以下自身の解題によれば、曲は3楽章から成り──第1楽章はオーケストラのみが荒涼とした凍てつく厳冬の大地のような光景を奏してゆく。第2楽章から独奏者が入り、自ら炎となって時間/空間を活性化してゆく。第3楽章は冒頭の極寒の音風景がより深い沈黙と共に回帰しはじめ、独奏者もろとも全てを消尽する残酷な静謐さの待つ空間へ。しかしそこには微かな春の兆しも……。
 大変珍しい独奏楽器の組み合わせだが、現代音楽界で目覚ましい活躍を続ける俊英二人の「音が鋭く硬質で、身体性の奥深いところから圧倒的な存在感を示し、音楽の根源的な力を呼び覚ましてくれる」演奏を前提に選ばれた。ちなみにオーケストラは7群(2つの木管五重奏、1つの金管五重奏、2群の弦楽、五重奏[Hrn2, C-fg, Hp, Cel]に「時間の管理者としての」打楽器)から成り、ゆっくり渦巻く時間が広がる上でソリストが歌う。作品の後半では「逆に沈黙が渦を巻いてゆく」。

★水野みか子:《レオダマイア》
 英国19世紀ロマン派の詩人ワーズワースの詩《レオダマイア》に基づく。戦で命を落とした勇者の死を嘆く妻レオダマイアの強い願いに神が応え、3時間だけ冥府から蘇った夫と逢うことが許される。感激し昂ぶるレオダマイアに夫は冥府の清浄で高尚な愛と美を語りながら諭す。しかし約束の時間は過ぎ、彼は妻の前から去る。影にすがり倒れるレオダマイアは息絶え、静穏な喜びに満ちた冥府とは別の世界へ──。曲は、詩から自由に発想された切れ目無く演奏される2章から成る。闘いを回想するたくましい男性(尺八)に控えめな女性(二十絃箏)が寄り添う1章、逆に箏が雄弁に語りはじめる2章では尺八が遠くから見守る。
 2009年8月の「野村祐子 箏・三絃リサイタル」で、2章にあたる部分が〈尺八、箏、弦楽のための《緑の衣装を着たレオダマイア》〉として初演。今回は尺八がさらに活躍する1章(弦楽器の細かい分奏や管楽器の重音、特殊奏法など「かなりノイジーな音」を要求される)を加えた管弦楽版として書き直された。武満徹《ノヴェンバー・ステップス》など邦楽器と共演する先駆的作品の時代には管弦楽が邦楽器を邪魔せぬよう書かれていたが、時代も変わり邦楽器奏者の柔軟性も広がった現在、その可能性も生かす実験的な書法も随所で盛り込まれた。オーケストラは2管編成、チェレスタも邦楽器ソロに準ずるような重要な役割を果たすのも要注目だ。

★J.S.バッハ/野平一郎編曲:《ゴルトベルク変奏曲》
 不眠に悩んでいた伯爵の所望で書かれた……という伝説を持つバッハの鍵盤独奏曲《ゴルトベルク変奏曲》。ソロ楽器からアンサンブル、管弦楽まで巧みな編曲も各種生まれてきたが、鬼才・野平一郎が編曲したこの新編曲(2010年11月19日のセントラル愛知響第109回定期演奏会で初演)ほどの〈創造的編曲〉はかつてなかっただろう。
 冒頭の〈アリア〉に続き、そのバス主題に基づく30の変奏、最後にもう一度〈アリア〉が回帰して終わるという32のセクションからなる長大な変奏曲。がらりと雰囲気を変える第16変奏〈序曲〉を境に前半と後半がシンメトリックな構造を作っており、この組み立ては野平版でも変わらないが、齊藤いわく「《ゴルトベルク変奏曲》がタイムマシンに乗ったよう!」とはその通り。バッハから現代音楽にいたる様々な書法を駆使しながら〈現在・過去・未来〉を往還してゆく旅路なのだ。〈アリア〉は平穏にはじまるが……変奏に入ってしばらくすると「バロック風の世界から全然違う音の風景へ、凄く自然に移ってゆく」(齊藤)。以下変奏は数字のみで表記するが、何かが混信したように時空が柔らかくズレてゆく2でもう野平マジックの懐中だ。サクソフォン群も活用(7)した楽器法をはじめ、音色や手法の変化、伸縮する音型や調性の自由な飛翔など、いずれも滑らかな移行のうちに闖入しては別次元を拓く。メロディ群の関節を外すような相の手が入る8、調性も自由に飛翔する9、2/2拍子の原曲が4/5拍子などへ変わりリズムが奇妙に引き延ばされる10、弦のハーモニクスやチェレスタの響きが特徴的な11‥‥と自然な流れのうちにさりげなく素敵な奇想が盛り込まれては原曲の視野へ戻るあたりが絶妙。16〈フランス風序曲〉の豪壮を境にした後半でも類例のない楽器の巧みな組み合わせが多く、演奏者にも過酷が増す(29など極限だろう)。「この経験でオケの力が上がった」とは齊藤の感想だが、玉手箱を二重三重に空けてゆくような編曲は、バス主題の上に2つの民謡が重なる30〈クォドリベット〉で朗らかな音宇宙へ、そして最後に再び〈アリア〉で静かに旅を終える。……いや、昂揚の余韻から新たな旅が始まる、のか。

広島交響楽団

 東日本大震災のため本フェスティバルへの来演を断念した昨年3月、広島交響楽団の無念たるやいかばかりだったろうか。あれから1年。ただならぬ思いと共に、広響が今度こそ来演する。人類史上初めて原爆により凄惨な被害を受けた広島は〈国際平和文化都市〉として核兵器廃絶を世界へ訴え続けてきた。広響も〈Music for Peace 音楽で平和を〉が活動方針。事務局も「平和の中に繁栄するのがオーケストラ。平和を訴えてゆくのも広響の大切な役割ですし、オーケストラは人間の心の豊かさにとって必要なのだと胸を張っていきたい」とはっきり語るこの楽団にとって、毎年8月の《平和の夕べコンサート》は大切な演奏会だ。──東京大空襲の日に《すみだ平和祈念コンサート》を新日本フィルと共に捧げ続けているすみだトリフォニーホールへ、いま、広響が平和文化都市を代表して、強い思いを込めて(本公演のためだけのプログラムを組んで)来演することには特別な重みがある。……秋山和慶とのコンビで充実にいよいよ磨きもかかる広響、プロ改組40周年を迎えて飛躍の未来へ歩みゆく楽団の心を、お聴きいただきたい。祈りのなかにも強く響くこの音楽が、魂の明日をひらくのだ。

★エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 作品85
 《エニグマ(謎)変奏曲》や行進曲《威風堂々》などの成功を通して、英国を代表する作曲家となったエドワード・エルガー(1857〜1934)の創作には、1914年に勃発した第1次世界大戦が大きな影を落とした。疲弊し病に苦しんだ作曲家は、イングランド南部の森の薫りふかい別荘で療養しながら創作を続け、命ふきこまれるような穏やかで深い充実をみせていった。そのひとつが〈チェロ協奏曲〉(1918年)だ。手術を受けた直後に書き留めた主題から徐々に形をなしていったこの作品は、戦禍に翻弄された心の傷を森の歌が抱き留めたような傑作、なのかも知れない。広響の誇る多才な首席チェロ奏者スタンツェライトの明晰にして厚み美しい抒情も、繊細と大胆の交差する作品の魅力を明らかにしてくれるだろう。第1楽章、いきなりチェロ独奏の渋く重厚な和音から始まる協奏曲はすぐに8分の9拍子の柔らかい波のような流れをつくり、哀しみ深い情感がゆっくりと濃く歌われてゆく。……楽章冒頭の和音による動機が(今度はピツィカートで)再現されると、曲は切れ目なしに第2楽章へ。スケルツォにあたる急速な音楽のあいだ、独奏チェロは絶え間なく小気味良い速度で駆け続け、ときに伸びやかに歌い……軽妙に終わる。第3楽章は上行音型にこめられた歌心のたっぷりと美しいアダージョ。そして決然たる第4楽章へ。哀調つよい響きにも細やかな装飾音が独特の色を与えるなか、これまでの楽章の主題もここぞという場面で回帰しながら、音楽は全楽章の美しい円環を力強く閉じる。

★ブリテン:イギリス民謡組曲《過ぎ去りし時‥》 作品90
 英国の作曲家ベンジャミン・ブリテン(1913〜76)は72年に大きな心臓手術を受け、遂に完全な再起は叶わなかった。その療養中に書かれた晩年の作がこの組曲(74年)。生涯に多くの民謡編曲も遺した彼だが、この5曲ともイギリス民謡や舞曲から採られ……実に独創的なサウンドに生まれ変わっている。第1曲[美菓と美酒]のタイトルは〈浮世の楽しみ〉を含意、荒々しい生命力が聴き手を捉える。ハープも活躍する味わい深い第2曲[にがい柳]に続いて、第3曲[まぬけのハンキン]は元々クイーン・エリザベス・ホールの開場記念曲(67年)だが、管楽器とドラムの編成に広がる奇妙な調性感が浮世の歪みをみせるよう。弦楽器がこれまたユニークな第4曲[リスを追え]といい、前衛にはくみしなかったが尖鋭を好んだブリテンの才気煥発。最後の第5曲[メルボルン卿]では哀歌風の民謡(《エッピングの森》《メルボルン卿》による)が余韻の彼方へ遠ざかって感慨深い。
 なお、副題は作曲家が愛読したハーディの詩《生のまえ生のあと》(Before Life and After)による。傑作歌曲集《冬の言葉》(53年)最終曲として作曲もされているが、「意識の誕生より前には/万事うまく運んだ時代もあった」と、〈意識〉ゆえに感じられるこの世の痛みや苦しみを逆説的にうたう、その冒頭 "A time there was ──" (……時代もあった)を採ったものだ(《過ぎ去りし時‥》は意訳)。詩の痛切な皮肉は、この曲にもこだましているだろうか。ちなみに詩の最後はこうだ。「(略)どんな崩壊や苦難が/ものごとを滅ぼそうとも/誰ひとり気にしなかった/(略)けれども、感じる、という病が生まれ/原初の正しさは悪の色を帯びたのだ/無知がふたたび世にあらわれるまで/どれほどかかる? どれほど?」

★ブリテン:《シンフォニア・ダ・レクイエム(鎮魂交響曲)》 作品20
 英国にも大戦の危機が迫る1939年4月、人間関係の清算もかねてアメリカへ渡った若きブリテンは、9月に勃発した第2次大戦で帰国できなくなってしまう。窮地に立った彼にその時、遥か海の向こうから委嘱があった。神武天皇即位から2600年を祝う昭和15(1940)年の記念行事のため、日本政府が世界の作曲家5人へ新作を依頼した中に加えられたのだ。R.シュトラウス、イベールなどが新曲を書くなか、病気で寝込んだり、遅々として進まなかったブリテンの新曲は……亡くなった両親への追悼の想いこめて《シンフォニア・ダ・レクイエム(鎮魂交響曲)》と題されていた。これが「皇室の祝典にレクイエムとはなにごとか!」と烈しい騒動を巻き起こす。政府は演奏を拒否、太平洋戦争の勃発で日本初演は封印された。これは反戦主義者ブリテンの反骨精神だとか、間に合わずやむなくだとか諸説紛々、41年にニューヨークで初演されたこの曲が日本で演奏されたのは、56年のブリテン来日時のことだった(ちなみに、このアジア歴訪をきっかけにブリテンはマラヤ連邦[現在のマレーシアとシンガポール]からの委嘱で国歌を書くが採用拒否に遭う。東洋の国家委嘱との相性は悪かった)。
 悲嘆と緊張、苦悩と安息を20分ほどの演奏時間に凝縮してみせた傑作はアルト・サクソフォンを含む3管編成を動員、確かに祝典向きとは言いかねる凄まじさだ。強烈な打撃で始まる第1楽章[涙の日(ラクリモサ)]は、作曲者いわく緩やかな行進曲風の挽歌。8分の6拍子の流れに特徴的なシンコペーションなど引きずるような音楽が重く展開し、昂揚の果てに静まると、続けて第2楽章[怒りの日(ディエス・イレ)]へ。フルート群の不気味なトレモロと弦楽器が風雲急を告げると、音楽は不気味な "死の踊り" を駆けてゆく。壮絶な音楽も激しく叩き付けられるうちに崩れおち……切れ目なく第3楽章[永遠の安息を(レクイエム・エテルナム)]へ。作曲の経緯はともかく、作曲家の意識を染めていたであろう迫り来る戦禍と、死と生への洞察を聴くことは、間違いではあるまい。
 ──この曲が書かれて間もない1940年11月、英国の歴史ある街コヴェントリーはドイツ軍による猛攻を受け大火の中に崩れ落ちた(独軍の作戦コードネームが《月光ソナタ》だったことも記憶しておくべきだろう)。戦後、この街の大聖堂再建を機に初演されたブリテンふたつめの鎮魂曲が、かの大作《戦争レクイエム》(1962年初演)だ。

山野雄大(やまのたけひろ/音楽ライター)

大阪交響楽団

 知られざる作曲家や秘曲を積極的に紹介し続ける大阪交響楽団と音楽監督・児玉宏のコンビ、今回はロシアとドイツを結ぶ“裏街道”というべきプログラムを。まず注目すべきは、バイエルンに生まれ、サンクトペテルブルクで活躍したロマン派作曲家ヘンゼルトの《ピアノ協奏曲》。のっけからショパンの《ピアノ協奏曲第2番》に酷似したパッセージが登場するので、「あれ? ショパン?」と驚いてしまうこと必至(しかも調性は両曲とも同じヘ短調)。後半は、モスクワに生まれザルツブルクに没したプフィッツナーの《交響曲第2番》。ホルンが導入する冒頭楽章の英雄的な主題が、終楽章で輝かしく回帰するところなど、これぞ“ザ・後期ロマン派”と呼ぶにふさわしい堂々たる作品である。

※公演内容が一部変更となりました。

詳しくはこちら


群馬交響楽団

 “群響”の愛称でおなじみ群馬交響楽団は、ユーラシア大陸を舞台にした異国情緒あふれる“音楽物語”をプログラム前半に。まずは、遊牧民ポロヴェッツ人(だったん人)に戦いを挑んだキエフ公国の英雄の遠征譚を描いた、ボロディンの歌劇《イーゴリ公》より「だったん人の踊り」。優美な旋律の<娘たちの踊り>と強烈なリズムの<男たちの踊り>の対比に注目。そして、有名な『千一夜物語(アラビアン・ナイト)』の世界観を描いた《シェエラザード》。ラヴェルならではの魔術的な管弦楽法と、中嶋彰子の陶酔的なソプラノ独唱にたっぷりと身を浸したい。後半、ベルリオーズ《幻想交響曲》では、失恋した芸術家が夢見る奇怪な“ホラーストーリー”が展開する。

セントラル愛知交響楽団

 なんといっても目玉は、作曲家/ピアニストの野平一郎が編曲したバッハ《ゴルトベルク変奏曲》管弦楽版。これまで弦楽三重奏版、ジャズトリオ版、ギター二重奏版などにアレンジされてきたが、オケ版というのはおそらく世界初の快挙のはずだ。2010年11月に名古屋で初演後、2011年3月に東京初演が予定されていたが、東日本大震災の影響で演奏が見送られため、今回が待望の東京上陸となる。編曲者の野平自身も「聴く人を『退屈させる』ために書かれた作品を、逆に管弦楽の力で『退屈させない』ようにすることはほとんど不可能」と述べているように、ある意味、向こう見ずな試みだが、不可能を可能にしてしまった野平の“必殺編曲技”にぜひとも注目したい。プログラム前半には、リコーダーとチェロを使った木下正道作品の世界初演、琴と尺八を使った水野みか子作品の管弦楽版初演もある。

広島交響楽団

 2012年最大のイベントは、夏のロンドン五輪。1年を通じて何かと耳にすることが多くなると予想される英国音楽から、広島交響楽団はエルガーとブリテンに焦点を絞った。まずはエルガーの代表作《チェロ協奏曲》。シュタルケル、シフら錚々たる巨匠に師事した経歴を持つ、同団首席チェロ奏者マーティン・スタンツェライトの深々とした音色と名技を堪能したい。そして、ブリテンの作品からは、最初にイギリス民謡組曲「過ぎ去りし時…」。ティンパニを効果的に使った管弦楽法など、才気煥発なブリテンならではの楽しい作品である。さらに、ヒロシマという地を強く意識する同団らしく、ブリテンの問題作《シンフォニア・ダ・レクイエム》も。もともと皇紀2600年を奉祝する曲として、当時の日本政府から委嘱された作品だが、「鎮魂交響曲」を意味するタイトルが物議を醸し、演奏拒否されてしまった曰くつきの曲だ。

前島秀国(まえじまひでくに/サウンド&ヴィジュアル・ライター)

室内楽コンサート[小ホール]

1)セントラル愛知交響楽団
2012年3月18日(日) 13:00開始(12:45開場)
齊藤一郎[常任指揮者・お話] 木下正道[作曲・お話]
鈴木俊哉[リコーダー] 多井智紀[チェロ]
木下正道/真実における灰 X(リコーダー、チェロ)
木下正道/Crypte IV-b(チェロ独奏)
サルヴァトーレ・シャリーノ/風によって運ばれた対蹠地の手紙(リコーダー独奏) ほか
[定員100名]

応募方法はこちら

2)広島交響楽団
2012年3月20日(火・祝)13:00開始(12:45開場)
マーティン・スタンツェライト[同団首席チェロ奏者] 川島基[ピアノ]
フランク・ブリッジ/チェロ・ソナタ 作品125
シューベルト/アルペジョーネ・ソナタ イ短調D821
[定員100名]

応募方法はこちら

3)群馬交響楽団
2012年3月25日(日)13:00開始(12:45開場)
水谷 晃[同団コンサートマスター] 秋葉美果[同団第2ヴァイオリン首席奏者]
加藤大輔[同団ヴィオラ奏者] 長瀬夏嵐[同団チェロ奏者] 野田祐介[同団クラリネット第一奏者]
モーツァルト/クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581 ほか
[定員100名]

応募方法はこちら

応募方法

※応募は締切りました

※4公演セット券ご購入の方は、お申込みの必要はございません

[入場料] 全席自由、無料(応募多数の場合は抽選)
[申込み]
◆ハガキ
〒130-0013 東京都墨田区錦糸1-2-3 すみだトリフォニーホール
「地方都市オケ・フェス室内楽」N係
◆Eメール
oubo@triphony.com
※件名に「地方都市オケ・フェス室内楽」N係と入れてください

上記のいずれかで、
■氏名 ■年齢 ■住所 ■電話番号 ■希望コンサート ■人数(1通2名まで)
をご記入の上、ご応募ください。
※1通につき1公演のみ応募可能
※ひとりで1公演に複数応募は無効
※未就学児は入場不可

[〆切]  2012年3月2日(金)必着

公開リハーサル[大ホール]

1)セントラル愛知交響楽団
2012年3月25日(日)11:00開始予定(10:45開場)
齊藤一郎[常任指揮者] ほか
木下正道/「問いと炎II」リコーダー・チェロとオーケストラの為の(世界初演) ほか
[定員]200名

応募方法はこちら

2)広島交響楽団
2012年3月27日(火)15:30開始予定(15:15開場)
秋山和慶[音楽監督・常任指揮者] ほか
ブリテン/シンフォニア・ダ・レクイエム ほか
[定員200名]

応募方法はこちら

※リハーサルの公開時間は当日の練習状況により変化しますが、1〜2時間程度の予定です
※公開リハーサルの曲目は、練習状況により変更されます

応募方法

※応募は締切りました

※4公演セット券ご購入の方は、お申込みの必要はございません

[入場料] 全席自由、無料(応募多数の場合は抽選)
[申込み]
◆ハガキ
〒130-0013 東京都墨田区錦糸1-2-3 すみだトリフォニーホール
「地方都市オケ・フェス公開リハ」N係
◆Eメール
oubo@triphony.com
※件名に「地方都市オケ・フェス公開リハ」N係と入れてください

上記のいずれかで、
■氏名 ■年齢 ■住所 ■電話番号 ■希望リハーサル ■人数(1通2名まで)
をご記入の上、ご応募ください。
※1通につき1公演のみ応募可能
※ひとりで1公演に複数応募は無効
※未就学児は入場不可

[〆切]  2012年3月2日(金)必着

 
PAGE TOP
+ 企画・公演に関する事 03-5608-5404 + チケットのご予約に関する事 03-5608-1212
+ ホール・練習室のご利用に関する事 03-5608-5400